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ラピックオイルフェンス

これまでのオイルフェンスでは「対オイルフェンス直角相対流速(※)」が20cm/秒を超えると「エントレインメント現象(※)」が発生して油滴の潜りぬけが始まり、25cm/秒(=時速900m=0.5ノット)を超えると、ほとんど油の流下を止めることができませんでした。

(※については、「油を内水・海等で拡散防止する場合」のコラムをご参照下さい。)

「ラピックオイルフェンス」は「パラペットフェンス」「ラフトフェンス」という2種類のオイルフェンスを組み合わせて、1ユニットとする新しいタイプのオイルフェンスです。「対オイルフェンス直角相対流速」がおよそ25cm/秒を越えるまで油滴を潜りぬけさせず、それを越えた流速でも、従来のオイルフェンスに比べるとはるかに少ない量の油滴しか潜らせない、優れた対流速性能をもちます(特許申請中)。

2種類のオイルフェンスの防除性能を比較しました。

人工川(幅2m 水深0.4m)に 100㏄の着色軽油を流し 流速が毎秒15~25cmになるように調整。(オイルフェンスを張ったことで水流妨害が生じ 画面の流速計では5~10cm/秒ほど低く表示されている。)

ラピックオイルフェンス

そのメカニズムは以下の通りです。(左図参照)
まずパラペットフェンスが水面近くの水とともに油を止めます。通常、このように止められた水は水底のほうに渦を巻きながら移動して油を引き込み、オイルフェンスの下流側にまで油滴を引き連れていきます。しかし水面と水底の圧力差を少なくするために喫水を浅めにしているうえに、上流側の水面をラフトフェンスで覆っているので、渦が抑制され、油が引き込まれにくくなるのです。

このように単体として急流に強いだけでなく、ラピックオイルフェンスは、2列に並行させて展張すると、さらに防除力が高まります。なぜならラピックオイルフェンスの下流の背後では反流が発生するので、1列目のフェンスを潜り抜けた多くの油滴の大部分は、その1列目のフェンスのすぐ後ろの水面で再浮上し、2列目のフェンスがそれをとめるからです。

そのほか ラピックオイルフェンスには 現場のニーズをくみとった 下記のようなメリットがあります。

  • 1mあたり1㎏と軽量 かつ喫水が浅くて流圧荷重も小さいので 比較的少人数でも展張しやすい。

  • 1ユニット2mで 複数本をつないで自在に長さを調整でき、水路・河川・ダム湖など様々な場所で使いやすい。

  • 垂直に切り立っているような護岸でも 端部を二股に枝分かれするように接続(グラフト接続)させることで 油がオイルフェンスと護岸の隙間から漏れることを防ぎやすい。(左図参照)

  • パラペットフェンスは耐久性が強く シンクなどでも洗うことができるので 使い回しやすく経済的。
    (パラペットフェンス単独でも 従来のオイルフェンスと同等の流速に対応できる防除力はあります。)
    ラフトフェンスは油を吸着するので、少量の漏油なら オイルマットを使わなくとも 吸着回収できる。

  • 流出事故発生時の対応のみならず、長期間 予防的に設置しつづけておくこともできる。 特にラフトフェンスに替えて「LCオイルフェンス」をパラペットフェンスと組み合わせると、吸着性能も長期間保持できる。

ラピックオイルフェンス
ラピックオイルフェンス

なお、パラペットフェンスだけでも軽質油の内水での漏洩に対しては、大型のオレンジフェンスと同等の防除力があります。

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